浜松市楽器博物館へ行ってみた

東京都出身の私が、コロナの影響もあって静岡県浜松市に住むようになってから、はや3年。引っ越した当初は、「落ち着いたら、行ってみたい!」と思う場所が山ほどあった。

しかし人間は本当に「落ち着いて」しまうと、意外とでかけなくなるもの。ましてや車社会の街で車なし生活をしている私たちには、遠出の観光となると、元々重たい腰がさらに重くなる。

家から徒歩13分ほどの浜松市楽器博物館ですら、3年以上も行かなかった。浜松市楽器博物館は、日本で唯一の公立の楽器博物館である。引っ越した当初、どこかで見つけてもらってきた入館料の割引券は、三年間しっかり財布に入ったまま。大人800円から160円も割引してくれるので「超お得」と感じて、いつ行くかわならないのに捨てられなかった。

先日、長野県阿智村にある「満蒙開拓平和記念館」に行った。その際に、一緒に行った人が「最近美術館に行くことにハマっている」という話をしていた。美術館か、、、そういえば昨今の美術館や博物館は行っていなかったな、、、コロナで閉館が続いていたせいなのだが、2020年1月に秋田を旅行して以来、美術館や博物館らしきものは行っていなかった。

「満蒙開拓平和記念館」のことは、思いが強すぎて簡単にブログに書けるような体験ではなかったけれど、ここに行ったのをきっかけに、若い頃に楽しんだ「博物館巡り」への情熱が再燃した。

浜松市楽器博物館なら、徒歩ですぐ。割引券もあることだし、行ってみよう!という気持ちになり、9月1日の午後にランチのついでに遊びに行ってみた。

ちなみに浜松市楽器博物館は、70歳以上の方は常時無料。

浜松市楽器博物館

※各写真はクリックすると拡大します

目次

楽器の街、浜松市にある楽器博物館

浜松市は、YAMAHA、Roland、KAWAIという名だたる楽器メーカーのお膝元。比較的、音楽には寛容で、週末ともなると多くのストリートミュージシャンが歌ったり演奏をしたり、ブラスバンドの発表会があったりと、賑やかになる。

秋にはジャズフェスティバルをはじめとする多くの音楽イベントが開かれ、浜松市には「音楽の街」と主張する市民がたくさんいるが、実際は音楽の街ではなく楽器の街だと私は思う。

浜松市楽器博物館は世界中の楽器、そしてその楽器の歴史を偏りなく紹介している博物館である。1995年4月に開館。受付のある1階と地下の2層構造の建物で、 約1200点の世界中の楽器が展示されている。一部の展示を除いて、ガラスケースを使わない露出展示のため、リアルな質感を楽しむことができる。

最初にで迎えてくれるのは、サイン・ワインというミャンマーの華やかな楽器。太鼓やゴングを中心とした打楽器群。 仏教儀礼や、 舞踏、演劇の伴奏などで使うミャンマーの代表的な伝統楽器

1階のフロアーには、アジアと日本の楽器が勢揃いしている。インドネシアのガムラン音楽の楽器は、ミャンマーのサイン・ワインを上回る壮大さと華やかさで、いつかインドネシアを訪れて、ガムラン音楽の演奏を生で聴いてみたい、と思う衝動に駆られる。帰宅後に、思わずインドネシア旅行の旅費を調べたほどだ。

その他にも、モンゴル民族の楽器や韓国の伝統的音楽のための楽器など、アジアは比較的、金や赤の華やかな楽器が多い。

しかし、日本のコーナーとなると、一気に落ち着きを見せる。尺八、琴、三味線、雅楽、太鼓、琵琶など、楽器の種類はかなり豊富。実は音楽は日本の歴史を語る上で重要な要素なのだ。
しかし他国のそれと比べると、実に地味だ。

楽器から放たれる音は、華やかというよりも厳か、という印象が強いように思う。浜松市楽器博物館には、その楽器の音を体験するためのヘッドフォンが随所に置かれているが、アジアの楽器は割とキンキンと金属音が多い印象を受け、日本の楽器は笛や太鼓を代表とする、シンプルで落ち着きと威厳を感じる。

地下のフロアに行くと、ヨーロッパやアフリカ、アメリカの楽器が所狭しと並んでいる。アフリカの楽器もまた、アフリカ系民族の中では生活に根付いた大事なものである。

人間の歴史の中には常に音楽があり、音楽は宗教儀式と密接に結びついているし、人間を語る上で音楽というのは大事な要素なのだなと、はっきりと理解することができた。

ピアノと電子ピアノ

浜松市にYAMAHAとKAWAI、Rolandという名だたる楽器メーカーがある以上、ピアノと電子ピアノ・電子オルガン・エレクトーンは語らないわけにはいかない。

私は4歳からYAMAHAのエレクトーンを習ってきたが、エレクトーンは今は楽器というよりもパソコン、マシンという感じがする。オールドエレクトーンの展示を見たときに、郷愁というか、強い懐かしさと落ち着く気持ちが湧いてきた。オルガンに少し毛の生えた感じが、むしろ面白さを感じる。

もっと昔のピアノを遡ると、燭台のついたピアノを発見した。昔は夜になると真っ暗だから、蝋燭を置いて演奏したり、練習したりしたのだろう。アンティークの貴重品。

ピアノのコーナーでは、今はもう決して見ることのできないピアノの数々。ピアノというよりも家具、アンティークなインテリア。

印象的だった三味線の歴史

三味線の歴史の展示があった。中国のサンシェン(三弦)が沖縄に伝わって、三線になり、最終的に三味線になった。三線が初めて日本大陸に持ち込まれたのは、大阪の堺市だそう。室町時代のこと。

中国大陸からやってきた文化は漢字が最も有名だし、儒教や仏教、哲学や箸、稲など、さまざまなものが伝来した。その伝来してきたものの中に三味線の元である、サンシェンも含まれている。つまり、歴史を語る上では、海外からの伝来というのは外せないキーワードなのだ。歴史は実に面白い。

三味線を使った伝統芸能はたくさんある。長唄、地歌、浄瑠璃、民謡など、三味線が日本に持ち込まれたのちは、独自の文化を築き上げていった。

楽器がなければ、音楽は生まれない。楽器が音楽を作り、新しい芸術を生み出していく。それが音楽の面白さだし、楽器という世界の魅力だと感じた。楽器を通じて、その民族たちが神に祈りをささげ、儀式を行い、独創性をもって時代を作り上げていく。

つまり、No Music, No Lifeなのである。

浜松市楽器博物館について

JR浜松駅北口より徒歩10分
〒430-7790 静岡県浜松市中区中央3-9-1

浜松市楽器博物館
浜松市楽器博物館 浜松市楽器博物館は、平成7年(1995年)4月に浜松市が開設した、日本で唯一の公立楽器博物館です。世界の楽器1,300点を展示して、人と楽器、人と音楽の絆を紹介しています...

写真撮影は可能。当然だけど、館内での飲食は禁止。

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この記事を書いた人

株式会社KIZUNA
日本におけるキャスティングとロケコーディネート、マカオ・香港のロケコーディネート・キャスティング・スタッフィング、日本人向けの旅行・視察アテンド業務・プライベートガイドを行っています

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